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院長 山本従道からの病気のお話



高脂血症について

暑かった夏も過ぎ、食欲の秋となりました。
今回は、高脂血症の話です。
高脂血症は、動脈硬化の危険因子として重要で、高血圧症、糖尿病などとともに
生活習慣病の一つです。

病気の仕組みとしては、血液の中の脂肪分、主にコレステロールと中性脂肪が増えて、
全身の動脈が硬くなって、動脈がつまったり破れたりする動脈硬化を引き起こすことです。
心臓の血管がつまりそうになると、狭心症、 つまると急性心筋梗塞になります。
これらは まとめて脳血管障害となるわけです。
足の 動脈がつまると、閉塞性動脈硬化症といいます。
動脈瘤という病気もあり胸部大動脈 瘤破裂は死亡率の高い重病です。

コレステロールは体のすべての細胞の膜をつくる成分でもあり、
副腎皮質ホルモン、性ホルモンなどの生成にも欠かせないものです。
また、脂肪を吸収するための胆汁酸にもなります。
従って微妙な仕組みでコントロールされていますが、
その生成系は食事中から消化吸収されて体に入るものと、肝臓で合成されるものとがあります。
また、結合する蛋白からの分類から、
肝臓から末梢に向かって移動するLDLという蛋白と結合したLDLコレステロールと、
末梢から肝臓へ過剰なものを移動させるHDLという蛋白に結合した
LDLコレステロールという分け方もあります。
LDLコレステロールを悪玉コレステロール、
HDLコレステロールを善玉コレステロールと考えると解りやすくなります。
中性脂肪の中にもその1/5程度にコレステロールが含まれていますので、
中性脂肪が400以下のとき、
総コレステロール=LDLコレステロール+HDLコレステロール+1/5中性脂肪
という関係式が成り立つと言われています。

このような仕組みと病気の発生の危険性から高脂血症という病気が定義され、
総コレステロール、220mg/dl以上、LDLコレステロールで140mg/dl以上を
高コレステ ロール血症といいます。
中性脂肪は、150 mg/dl以上は異常とされます。
日本動脈硬化学会は、その人の健康状態を3つのカテゴリーに分けて
その各々に治療の目安となるように、高脂血症治療ガイドラインをつくっています。
カテゴリーBに入る他の危険因子のある人は、正常の人より厳しい治療基準となっています。
心臓病のあるカテゴリーCは、もっと厳しい基準です。

治療としては、悪玉コレステロールを下げるのは、まずは食事から吸収される量を減らすことです。
それには食べる量を減らすことが一番で食事療法が大切ということになります。

主にコレステロールの多い食品(卵など)を減らすことです。
次に肝臓での合成量を減らせばいいわけですが、それには内服薬が中心です。
肝臓でのコレステロールの合成を抑える薬、胆汁への排泄を促進する薬などがあります。
最近、アメリカなどでたくさん使われているもので今までにない強い薬が認可されました。
善玉のコレステロールを上げるには一番は運動です。
酸素を消費するような 軽い運動を長く続けることがお勧めです。
また、少量のアルコールも善玉コレステロールが上がると言われています。
中性脂肪を下げるにはコレステロールだけでなく食事全体の摂取量を減らし、
体重をコントロールすることが必要です。
こちらにも運動が有効です。

運動療法は、このように様々な状態に有効なのですが、
それには糖尿病に関連するインスリンというホルモンへの感受性の問題があります。
軽度の肥満があり、軽度の高血圧があり、軽度の中性脂肪の増加があり、
軽度の糖尿病傾向があるような人は、善玉のコレステロールも低いことが多く、
動脈硬化のハイリスクグルーブと考えられています。
シンドロームX(症候 群X)とか、死の四重奏とか、内臓肥満症候群などといわれ
代謝症候群とも総称されていますが、
その根底にインスリン抵抗性があって、 高血圧、高中性脂肪血症、耐糖能障害などが
関連して出てくるようです。
運動療法がこのインスリン抵抗性を改善すると言われています。

21世紀の内科学の夢の一つは、このインスリン抵抗性を改善し、
血圧も糖も脂肪も肥満も一挙に解決する薬の開発です。
このように生活習慣病は、根底で深く結びついています。
まずは、食事とそして運動、ライフスタイルの改善です。

高脂血症の図はこちら!!

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