*職員へのインタビュー

最高の出会い
ベルローゼ・デイケア ケアスタッフ 塩出恵津子
    
 今から四年前、勤務先の四国、高松で手話を覚え手話を
通じて聴覚障害者の人達に出会いました。
 綺麗な澄んだ瞳に出会った瞬間、感動が体中を駆け巡り
涙が自然とこぼれ落ちました。辛いこと、悲しいこと、数
切れないほどの寂しい思いを経験したにもかかわらず、
さしい瞳で私を包んでくれたからです。
 ”自分達が当たり前””耳が聞こえないのが普通なんだ”
若い聴覚障害者達は思い、ボーリング、野球、テニスと
とんどのスポーツをこなし、なんと、彼ら達はカラオケ
大好
き!!携帯電話でメールを交換をし、10m離れて1
0ホー
ン以上の音が聞こえれば車の免許も取れるので、車
でど
こへでも出かけていきます。
 手話を覚え始めの一年くらいは、手話が通じず、挫折、
挫折の連続で、”私には手話は無理ではないか?”と思い
悩んだ日々もありましたが、手話が通じたその瞬間、辛い
思いは全て吹き飛んでしまいました。飲み会に行くと、手
がおしゃべりするから、気が付くとほとんど食してない事
もありましたが、これも経験!!二年すぎたころには上手
に合間を見て飲んで食べている私がいました。
 無情にも広島へ転勤が決まり、神戸へ一泊二日の日程で
聴覚障害者三人、健聴者二人でお別れ旅行に出かけること
になりました。一日中一緒にいたことは何度もありますが、
一泊二日も一緒にいたことは初めてだったので、楽しくて
神戸での見るもの全てがきれいに映り、おしゃべりも留ま
るところを知りませんでした。おまけに恋の悩みを打ち明
けられたから、朝方まで手は休むことを忘れていました。
二時間ほどの睡眠で目を覚ますと、外は大雨!!私以外は
皆若いので、雨なんて平気です。大阪まで足を伸ばし南港
にあるWTCコスモタワーに行って、最上階に行こうとエ
レベーターに乗ったらエレベーターガールの方が、なんと
手話で説明を始められたのです。これには皆感激で、その
方と話が弾み心地よい気分でエレベーターを降りました。
の後大阪を散策し、神戸港に戻ったとき疲れはピークに
して居ましたが、それでも手はおしゃべりを止めようと
はしま
せんでした。神戸港の夜景に別れを惜しむかのよう
に船は
静かに港を離れ、お別れ旅行は幕を閉じたのです。
ますま
すお別れが辛くなりましたが、仕方ありません。
 別れの日、私は手話で皆に伝えました。”最高の出会い
をありがとう”

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